弁護士Y氏の事件ファイル 借金問題解決事例 法律相談24時間オンライン予約 今すぐ予約する
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「ご利用は計画的に」が一番
消費者に強い味方『利息制限法』とは
『借金の整理』あなたにベストな方法は?
本当に破産はベストな選択か?
『引き直し計算』とは?
選択肢1『自己破産』
コラム 破産?再生?選択のポイント
選択肢2『民事再生』
選択肢3『任意整理』
『特定調停』は任意整理の一手法?
債務者どころか債権者?『過払金返還請求』とは?
借入先のサラ金が破産?
自己破産と過払金の関係
債務整理の費用

選択肢3『任意整理』

網代:「それでは、自己破産や民事再生ができない、あるいはどうしてもしたくないという場合には、任意整理となるわけですね。」

市来:「そうなりますね。」

網代:「任意整理は各債権者と個別に和解を結ぶということでしたが…」

田邉:「毎月返済できる金額を決めて、その金額の範囲内で、この債権者には毎月5千円ずつ30回、こちらの債権者には毎月8千円ずつ45回などと、交渉をして個別に和解契約を結んでいくことになります。」

網代:「毎月いくらぐらい支払えばいいのでしょうか。」

田邉:「債務総額にもよりますが、大体が3年とか5年とか、ある程度長期にわたって返済しなければならないので、無理をした金額では早晩弁済できなくなってしまうでしょう。生活にあまり無理のない範囲でということになるので、3万円程度が多いですね。」

網代:「いままでの月々の返済額からは下げることができると考えて良いのでしょうか。」

市来:「任意整理のメリットというのは、和解の時点で、それ以降の返済については利息がかからなくなるということです。最近は貸金業者も経営が厳しいので返済について利息を請求するという業者もないわけではないのですが、われわれが交渉するラインとしては、利息制限法所定金利で引き直し計算をした後の残元本額としています。もし、これが30万円ならば、1万円を30回支払えばいいということです。」

網代:「利息制限法での引き直しと、残元本額での和解という2つの点で債務総額を減額できる可能性があるわけですね。」

市来:「そうなります。」

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『特定調停』は任意整理の一手法?

網代:「特定調停についてはどうでしょうか。」

田邉:「基本的には任意整理と同じです。これは簡易裁判所で行うことができる手続きですが、特定調停の申し立てをすると、債権者に対して裁判所から債権を届け出るように通知がなされます。債権者は特定調停で債務者と交渉することにするかどうか、するとした場合には、利息制限法で引き直した計算書を提出します。それを前提に裁判所から選任された調停委員が調停案を提示し、その内容で構わなければ合意をするという流れになります。ですから、必ずしも代理人として弁護士や司法書士がいなくても、個人でも出来る手続きと言えるでしょう。」

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債務者どころか債権者?『過払金返還請求」とは?

網代:「これで、債務整理の方法のあらましはお聞きしましたが、今度は、最近非常によく聞く『過払金』について、詳しく説明していただきたいと思います。さきほど、利息制限法で引き直し計算をすると、超過利息は元本に充当していくので、債務全額を払い終わっている、つまり払いすぎの状態になっていることがある、これが『過払金』だというお話でした。過払金があったとして、どんな場合でも取り戻せるのでしょうか。」

田邉:「最終取引日から10年以上経過してしまっている場合には、過払金の返還は請求できません。過払金の返還は、法律的には不当利得返還請求権というものですが、実は、この権利は、これが請求できるときから10年を経過すると時効消滅してしまうのです。ですから、過去に完済してしまった債務がある方は注意しなければなりません。」

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借入先のサラ金が破産?

網代:「過払金があると、「いつ頃」お金が戻るのかが非常に気になるところですが。」

田邉:「こればかりは、時間がかかるとしかお答えできません。以前は、若干減額をすれば早めに返してくれる場合もありましたが、最近は交渉で返還してくれることは少なくなりました。交渉で返還してくれない場合には裁判所で訴訟をすることになりますが、これも基本的に訴訟の期日が1ヶ月に1回程度なので最低でも半年ぐらいはかかるでしょう。また、大手の債権者は一括で返してくれますが、中小の業者は分割でといってくることもあります。さらには、債権者が民事再生や破産といった手続きを申し立ててしまう事態も出てきています。」

網代:「そうなった場合には、どうなるのでしょうか。」

市来:「民事再生の場合には、再生計画案でどの程度の比率で返還されるのかがわかります。以前の例ですと、クレディアでは40パーセント程度だったのが、先頃のアエルでは1パーセントにも満たない額でした。破産の場合も含めて、どの程度の財産が会社にあるのかによって大きく返還額が異なることになります。」

網代:「民事再生手続きですと、例えば、もともと40万円の返還請求ができたのに、再生計画で2万円しか返還されないと決まってしまえば、残りの38万円については請求できなくなってしまうのですか。」

市来:「そうです。請求権放棄という形になりますので。」

網代:「そうなると、過払金も全部が全部取り戻せるわけではないのですね。」

一口メモ 免責とは? 免責不許可事由とは

破産が認められた後、『免責』が許可されれば、破産債権の法律上の債務返済義務をまぬがれることができる。免責が不許可となってしまう事由は法律で定められている。免責不許可事由の主なものは、次のとおり

  1. 浪費やギャンブルによる多額の借金
  2. ブランド品を買いあさり、すぐにお金に換えるなどの換金行為を繰り返した
  3. 財産を隠匿したり、損壊したり、著しく低い価格で売却した
  4. 以前に破産の免責決定を受けて7年経過していない

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自己破産と過払金の関係

市来:「残念ながら、そういうことになります。それから、自己破産との関係で過払金が問題となることがあります。例えば、1社にだけ過払金があり、残り5社は債務が残ったという場合です。過払金で50万円は返ってくるが、債務の総額は500万円ある、こういうときは、ほかの事情が許せば自己破産をすべきでしょう。回収した50万円はどうなるのかということですが、他の資産状況にもよりますが、自己破産のところでご説明したように、99万円までの現金は手元に置いておけるので、50万円の現金が手元に入ってきて、債務は破産免責によりゼロにできるということになります。」

網代:「99万円を超える場合には、債権者に配当されてしまうのですか。」

市来:「それはそうなりますね。」

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責務整理の費用

網代:「ここまでお話を伺ってきて、債務整理というのがどういうものなのか具体的イメージをつかむことができました。では、弁護士や司法書士に債務整理を依頼する場合に、どのくらいの費用がかかるのでしょうか。」

市来:「現在はすべての法律事務所に統一的な報酬規定というものがなく、依頼をされる事務所がそれぞれ定めた報酬基準を基準に当事者間の合意で報酬を定めることになります。自己破産や民事再生、特定調停の場合には裁判所に納める費用というものもあります。」

網代:「では、当事務所の報酬基準をベースに、まず報酬から説明していただけますか。」

田邉:「報酬には事件の依頼を受けた際に請求する着手金と、事件処理が終わった際に請求する成功報酬(報酬)とがあります。債務整理の場合は、債権者1社あたり着手金2万円、和解成立時に報酬として2万円が最低ラインといえるでしょう。」

市来:「他にも債権者が請求していた金額から減額して和解が成立した場合には、減額された額の何パーセントという報酬を取る場合もあります。他に、過払金を回収した場合には、回収金額の20パーセントから25パーセント程度の成功報酬をいただくことになりますし、さらに、請求額と回収額との差額の何パーセントという報酬を、これに加えて取ることもあります。」

網代:「自己破産の場合はどうですか」

市来:「これは東京のみの特殊な事情ですが、東京地方裁判所では弁護士が代理人をしている事件でないと事実上受け付けてもらえません。そもそも自己破産は自分の住んでいる場所の地方裁判所に申し立てるべきもので、それ以外の裁判所ではできないことになっているのですが、東京地方裁判所は全国どこに住んでいても代理人が東京の弁護士であれば事件を受け付けて処理してしまいます。いわば例外的な取扱をしているわけです。ですから、われわれが自己破産の依頼を受ける場合には、着手金20万円、免責決定時に報酬20万円というのが最低ラインかなと思います。」

網代:「破産を考えるような人が一度に何十万も支払えるとは思えません。」

市来:「ですから、ほとんどの弁護士は分割での支払いに応じています。」

網代:「裁判所にかかる費用はどうでしょうか。」

田邉:「自己破産については、申し立てる時には大体3万円程度の費用がかかります。申立書を提出するときにかかる印紙代、裁判所に納める切手代、これは債権者への通知などにつかわれます。それから、官報に掲載される費用で大体3万円弱になります。」

市来:「自己破産は、破産管財人が選任される場合と、選任されない場合があります。管財人が選任される場合は、さらに裁判所に20万円程度のお金を納めなければなりません。このお金については、分割払いはできない、一応一度に20万円を納めることになります。」

網代:「管財人が選任されるかどうかは、どこでわかるのですか。」

市来:「いくつかのパターンがありますが、一定基準以上の財産がある場合、給料等の差押えを受ける可能性がある場合、免責不許可事由があることが疑われる場合などがあります。これらは弁護士に相談していただければ、管財人が選任される事案か、選任されない事案かは判断できます。」

網代:「民事再生の場合は、どうでしょうか。」

田邉:「申立書を提出するときにかかる印紙代が1万円、それ以外に切手代なども必要ですが、東京地方裁判所の場合は、監督委員が裁判所から選任されます。破産でいう管財人と同じようなものですが、債務者の生活状況などから民事再生が可能かどうかを見極める役割の人といえます。毎月返済していけるかどうかをみる指標として、月々3万円程度のお金を監督委員に対して積み立てさせます。5ヶ月、総額にして15万円程度の積み立てをさせた上で、再生計画案に対する意見を述べて、それを参考に裁判所が再生計画を認めるかどうかを決めます。監督委員に積み立てたお金というのは、民事再生手続き費用の一部なので、戻りません。」

網代:「特定調停の場合は、どうでしょうか。」

市来:「調停を求める債務総額により申し立て時にかかる印紙代が異なりますが、目安としては、300万円で1万円ですから、それよりも総額が少なければ、印紙代も少なくなります。他に切手代としては2千円くらいでしょう。」

網代:「弁護士に対する報酬や手続費用が用意できないという人は、どうすればいいのでしょう。」

市来:「自己破産の場合には、法テラスというところから費用の援助を受けることができる場合があります。一時的に法テラスに費用を立て替えてもらい、後から立て替えてもらった費用分を分割で法テラスに返していくというシステムです。援助を受けられるかどうかも審査がありますが、弁護士に依頼していただく際に、援助を受けたい旨をお伝えいただければ、弁護士を通して法テラスに申請を出すことになります。残念ながら援助も受けられず、費用も工面できないということになりますと、われわれが関与する形での債務整理はできないと考えざるを得ないでしょうね。ですが、ご自分で判断されずに、とりあえず弁護士なり、司法書士なりに相談していただきたいですね。われわれも様々な方法を駆使して、お力になれるように努力いたしますので。」

網代:「わかりました。とにかく、一人で悩んでいないで、弁護士や司法書士に相談してみる、その一歩を踏み出すことが再出発の大きな力となるのだということですね。本日は貴重なお話をありがとうございました。

(了)

弁護士による責務整理 司法書士による責務整理

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