- 民事再生の申立原因は?
私は会社を経営していますが、取引先が倒産し買掛金が回収できなくなり、このままでは支払不能の状態になってしまいそうです。民事再生の申立ができますか。 おそらく支払不能のおそれがあると思われますので、民事再生の申立ができます。民事再生法では、「債務者に破産の原因たる事実の生ずるおそれがあるとき」には、民事再生手続開始の申立ができると定めています(21条)。「破産の原因たる事実」とは、「支払不能と債務超過」です。本件の場合、支払不能に陥りそうだというのですから、おそらく「支払不能のおそれ」があると判断されるのではないでしょうか。民事再生の申立をおこなって、裁判所が確かに申立原因があると判断すれば、民事再生手続開始の決定がなされます。ところで、民事再生法が出来る以前の旧和議法では、「支払不能と債務超過」がなければ、和議の申立ができませんでした。ですから、ご質問のケースでも、現実に支払不能にならなければ申し立てられなかったのです。しかし、経営者からいえば、一刻も早く会社の再建を図りたいのが当然といえるでしょう。さらに、民事再生手続では、会社更生手続と異なり、取締役などの経営陣が基本的には申立後も経営を続けることができます。ですから、債務者に早期の申立をうながして、より債務者の再建に実効性あり、利用しやすい手続といえるでしょう。
執筆日20010221