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夫婦生活・離婚・養育費

養育費増額の調停を元妻が繰り返し起こしている。

 昨年2度の調停の末、養育費の額が決まったにもかかわらず、3ヶ月後に元妻が再び養育費増額の調停を申し立てました。前回の調停のために度々仕事を休み、会社に居づらくなって会社も辞めました。元妻の行動は嫌がらせとしか思えません。なにか方法はないですか。

 もし、養育費の増額してもらわなければならい事情が短期間のうちに生じたということが全くなく、単なる嫌がらせであるとすれば、非常に対応の難しい巧妙なものと言えますね。つまり、法律上、何らかの増額の理由となる事情があれば、短期間であっても請求は認められる可能性はゼロではなく、調停に出て相手の言い分を聞かないと、そのへんの判断ができないというジレンマがあるわけです。ただ、一方で、調停というのは、双方の合意による解決を調停委員が手助けする場であって、あなたの方で、嫌がらせと判断するなら、何度も調停に出て必ず話し合いに応じなければならないということではありません。前の調停成立後わずか3ヶ月というのは、確かにちょっと短すぎます。よほどの事情が無い限り、裁判になっても、養育費の増額が認められる可能性は低いと思います。そこで、当面元夫の側の対処としては、第一回の調停には何とか出席して、3ヶ月前の成立から短期間しか経っていないことをきちんと調停委員に説明して、相手方の増額請求の根拠を明確に聞き出してもらうことです。その上で、それが合理性のないものであったり、根拠自体がなかったりしたら、合意(調停成立)するつもりがない旨をはっきりと伝えて、調停を一回でうち切ってもらえばよいと思います。調停不成立の場合、相手方が、納得しなければ裁判を起こしてくる可能性がありますが、増額の理由(あるいは、もともとの調停の金額が不当に低かった)の具体的な主張立証が無い限り、請求は認められません。つまり、嫌がらせであれば、請求棄却になるのです(ただし、裁判では欠席すると相手方の請求が認められてしまうこととなるのでご注意下さい)。一回目の調停で相手方がそれらしい理由を主張してきて、その理由の合理性が判断しかねるような場合であれば、その時点で、弁護士会の法律相談などを利用して、増額請求の認められる可能性について相談されるのも一案です。相手が、本当にいやがらせ目的で、裁判で請求が棄却されようが、調停が一回でうち切られようが何度でもやってくるという場合には、とても悩ましい状況になります。つまり、本当に増額事由があるのかいやがらせなのかが、その都度、相手の主張のふたを開けてみないとわからないというジレンマが常につきまとうわけです。残念ながら、調停を起こすことや裁判を起こすこと自体を法的に事前に禁止する方策がちょっと思い浮かびません。事後的に全てがいやがらせとわかれば、場合によったら、損害賠償請求ができる場合があるに過ぎません。

 執筆日20041021