- 財産分与と管財人の否認権行使
私が個人経営で経営している飲食点が、業績不振により運転資金が不足し、やむ得ずサラ金等から借金をして営業を継続してきました。しかし一向に業績は改善せず、サラ金等への返済も滞るようになり、店ばかりか自宅にまで取立に来るようになりました。妻は離婚を決意しており、少しでも財産分与をしてあげたいと考えていますが、自己破産を申立する予定ですので、詐害行為になってしまうのでしょうか。また、破産管財人から財産分与の効果を否認されてしまわないでしょうか。 判例では、離婚に伴う財産分与は民法768条3項の規定の趣旨に反して不相当に過大であり、財産分与に仮託してなされた財産処分であると認めるに足りるような特段の事情がない限り、詐害行為とはならないと判示しています。しかし、管財人が有する否認権(本件では財産分与の効力の否認)は、債権者の利益確保の見地から詐害行為取消制度より強化されており、否認権行使についは上記判例を参考とするものの、財産分与が社会的相当性を欠くか否かについては、財団の維持増殖ということを踏まえ、厳格に判断するものと思われます。
執筆日20000830