- ローン付き建物の財産分与の方法
離婚に際し、婚姻中に夫名義で購入した土地建物について金銭に換算して、財産分与を受けたいと思っています。夫は土地建物を離婚後も住居として使用したいといっています。この土地建物にはまだローンがついていますが、その場合の金銭評価の方法はどうなりますか。 土地建物を財産分与の対象とする場合、それが住居として使用されている場合には、一方が土地建物自体の所有権を保有し、他方配偶者に対して金銭評価の上、清算割合に従って金銭を分与するという方法がとられることがあります。清算割合については住居に固有の問題ではありませんのでここではおくとして、当該不動産の価額をどのように評価するかという点については問題があります。まず通常、その評価額は時価評価額をいうので、不動産鑑定士による鑑定や、不動産業者の査定などにより、決することができます。問題は、その住居のローンが残っている場合です。この場合、時価額のみで清算をしてしまうと、ローンを負担する側(ほとんどは、分与により保有する側)にとっては、二重の負担となるようなことがありますので、残ローンを考慮した評価額を算定しなければならないわけです。判例はこの点について、土地建物の時価額から、残ローン額を控除した残額を評価額とすることが多いようです。例えば、時価3000万円、残ローン額が1000万円とすれば、結局2000万円を分与対象の評価額とすることになるのです。ただし、判例の中には、時価額を定めず、既に支払ったローンの金額のうち、利息を除いた部分(元本充当分)を、当該土地建物の財産分与における評価額としたものもあります(名古屋高裁金沢支部決定昭和60年9月5日)。
執筆日20000830