- 養育費、財産分与の支払いが滞った場合の措置
離婚時に話し合いで取り決めた養育費や財産分与について、相手方から支払いがなされません。どうすればよいでしょうか。 まず、1)その話し合いの結果が公正証書になっている場合は、それに基づいて相手方の財産に強制執行するという方法があります。2)そうでない場合、そのままの状態では相手方からの支払いは期待できませんから、家庭裁判所にその履行(取り決めに基づく支払い)を求めて、調停をおこすことになります。3)取り決めが家庭裁判所の調停や審判でなされている場合は、強制執行の他に、家事審判法の履行確保の制度を利用できます。履行確保の内容は以下の三つです。第一に、家庭裁判所が、権利者からの申し出に基づき、調査官などに義務者の履行状況を調査させ、義務者に対して、その義務の履行を勧告するというものです(調査と勧告、家事審判法15条の5、25条の2)。第二に家庭裁判所は、調停や審判などで定められた金銭の支払い等の義務を怠った者について、相当な場合は、権利者の申立により、義務の履行を命じるものです(履行命令、家事審判法15条の6,25条の2)。この命令には期限を定め、その期限内に支払いをしない場合には、支払い義務のある者に対して科料の制裁が課せられます。第三に義務者の申し出により、家庭裁判所が権利者のために金銭を預かるというものです(権利者のための金銭の寄託、家事審判法15条の7、25条の2)。裁判所が金銭を預かってしまいますから、少なくともその限度で支払いは確実になります。
執筆日20001102