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夫婦生活・離婚・養育費

夫からの言葉の暴力

 夫から様々な暴言を言われて、精神的に苦痛です。言葉の暴力も立派な虐待だと思うのですが、これをやめさせる手はあるでしょうか。また、離婚するとしたら、物理的な暴力がなければ、離婚も認められませんか?

 いわゆるドメスティックバイオレンス法(DV法)では、取り締まりの対象となるのは配偶者からの「身体」に対する暴力とされていますので、言葉の暴力の場合には同法の対象とはならないと思われます。他方、刑法では、暴行と言う手段を取らない場合であっても傷害罪が成立するという裁判例が多数あります。例えば「嫌がらせの電話により不安感を与えて精神衰弱に」する場合、怒号などの嫌がらせにより不安抑うつ状態に陥れる場合などには、傷害罪が成立するとされた裁判例があります。従って、夫の暴言が上記裁判例と同様のものである場合には、傷害罪が成立する可能性があります。しかし、残念ながら、刑法にはDV法のように配偶者を遠ざけておく、近寄ることを禁止する、といった処分をすることなどは定められていません。従って止めさせる為には刑事告訴して刑務所に入れるしかない、ということになります。実はDV法は、刑法のこのような限界を改善するために制定された法律であるとも言えるのです。そのような法律だからこそ、逆に要件を厳格にし、身体への暴行という顕著な事実が必要だとしているのです。従って、DV法のような措置を求めることは難しいと思います。次に離婚ですが、その言葉の暴力が離婚原因に当たれば相手が嫌だといっても離婚できます。この離婚原因は、不貞行為(浮気)や遺棄などのことですが、「その他離婚を継続し難い重大な事由があるとき」には離婚出来るとされています(民法770条)。そして耐え難い暴言を繰り返し浴び、虐待と言えるような状況にあれば、離婚を継続し難い重大な事由があるとされる可能性がありますので、離婚が認められる可能性があると思われます。又離婚原因があるとされた場合、ある程度高い慰藉料を請求することが出来るでしょう。

 執筆日20050224