- 夫婦間の契約取消権
夫婦の間の約束は、いつ取り消しても良いって本当ですか。 民法は、第三者の権利を害さなければ、夫婦間の契約はいつでも取り消すことができ、仮にその契約を既に履行していても、取り消すことができると定めています。夫が奥さんに指輪をプレゼントすると約束したとしても、夫はいつでもその約束を取り消すことができ、奥さんが裁判所に訴えてその約束を実行させることはできません。この規定は、「夫婦の問題に法律は干渉せず、お互いの話し合いで解決しなさい」との考えに基づいています。夫婦間の問題に法律が入ると、円満な関係が壊れてしまうおそれがあるからです。ただ、その取消により第三者が損害を被る場合、先の例で宝石店に指輪を注文して既に注文通りの指輪ができているのに、夫婦間の契約を理由に取り消すことが可能であれば、宝石店に損害が生じますから、指輪の購入を取りやめることはできないのです。ただし、この規定は、円満な生活を送っている夫婦を前提にしていますから、夫婦関係が破綻している場合や、約束後に夫婦関係が破綻した場合などは、婚姻中とはいえ夫婦間の契約として取り消すことはできません。
執筆日20010604