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夫婦生活・離婚・養育費

離婚するときに浮気相手と再婚しないと誓約書を書かされました。

 離婚するときに浮気相手と再婚しないと誓約書をかかされました。有効ですか。

 離婚が成立しているにもかかわらず、離婚後において浮気相手と再婚しないということを書いた誓約書の効力ということですが、まず、離婚の際の合意について考えて見ます。離婚の際の約束は、法的には契約の一種あるいは一方的な意思表示となります。契約の中に定める事項や意思表示は、一般的には強行法規又は公序良俗に反しなければ、有効とされます(民法90条、91条参照)。従って、離婚後において、分かれた妻という他人の将来の婚姻相手を、契約によって制限できるか、つまりその制限が強行法規又は公序良俗に違反しないと言えるか、ということが問題となります。これについて民法上明確に規定した条文はありません。しかし、そもそも「婚姻は両性の合意のみに基づいて成立し、...。配偶者の選択、財産権、...に関しては法律は個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して制定されなければならない」(憲法25条)とされています。この憲法が述べているところは、配偶者の選択に当たっては個人の尊厳に基づき、両性の合意にのみに基づいて成立するものである、ということだと考えます。これに対する合理的な制限として未熟と考えられる未成年の婚姻に対する親の同意権がありますが、これが唯一のものであると言って良いでしょう。そして、この憲法の趣旨から、将来の自由意思で決定されるべき婚姻について、第三者が契約で拘束することは、個人の尊厳を傷つけるものであり、憲法および民法の許容するものではないと考えられます。従って、このような離婚後において浮気相手とは婚姻しない、とする誓約書や離婚協議書については、その部分について無効と考えるべきであると思います。従って、当該誓約書に違反して婚姻したからといって、離婚相手があなたを裁判に訴えたとしても、裁判上の救済は与えられないものと思われます。(なお、上記はあくまでも筆者の個人的見解ですので裁判で勝訴することを保証するものではありません。また上記以外の諸事情によっても結論は左右される可能性がありますので、ご承知置きください。)

 執筆日20060724