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夫婦生活・離婚・養育費

過去の養育費の請求

 離婚時に慰藉料や養育費について何の取り決めもしませんでした。子供が成人するまで前夫から全く金銭的な援助は受けませんでした。過去に遡って養育費の請求をすることはできるのでしょうか。

 養育費は文字通り子供の養育のために親である者が当然に負担しなければならない費用です。離婚したとしても子供の親であることに何ら変わりはないわけですから、双方の親がそれぞれ養育費を分担しなければなりません。では、既にこれまで自らの費用負担だけで子育てを終えてしまっている場合、実際の養育において不都合はなかったのだから、その間に養育費を支出しなかった片親に対し、もはや過去の養育費を請求する余地はないのでしょうか。扶養料一般については過去の分については請求できない」とされています。しかし、それでは必死に頑張って養育費を捻出し育てた方があまりに不利というものです。これについて、裁判所は、「養育費の関係においては扶養権利者からの請求の有無にかかわらず、具体的な扶養義務、扶養請求権は自然発生的に生じている」ことから、過去の養育費について遡って請求することが出来る、と判断しました(東京高判昭和58年4月28日)。従って、過去の養育費の請求をすることが出来ます。なお、成人までの養育費を全て請求できるかどうかは微妙です。養育費は「未成熟な状態が終わるまで」とされますが、扶養義務者の資力、学歴、家庭環境などに応じて異なった判断がなされています。従って、高校卒業までで終わりとされる可能性もある一方、場合によっては大学卒業までもが養育費の範囲に含まれると判断される場合もあります。これらの判断は家庭裁判所によって判断されることになりますが、実際は調停又は審判で判断されることになります。

 執筆日20050405