- 妻の連れ子を養子にした後、離婚した。その子に養育費を支払う必要があるか。
連れ子のある女性と結婚し、その子を養子にしましたが、その後離婚することとなりました。その子に養育費を支払う必要がありますか。 養育費は親子関係にあることが法律的に認められる場合に、相互扶助義務の一つとして発生するものです。養親子関係も同様であり、養親は養子の養育費を支出する必要があります。お尋ねの件も連れ子のある女性と離婚しただけでは、連れ子と結んだ養親子関係は解消されず、依然として養育費の支払いが必要になります。ただ養親子関係は法律によって特に親子関係を認める制度ですから、養子と離縁すればその後の養育費の支払いを免れることができます。養子縁組については普通養子と特別養子の2種類ありますが、お尋ねの件は普通養子であることを前提としてご説明します。養子縁組は元々契約による親子関係の創設ですから、当事者の協議で離縁することができます(民法811条1項)。養子が15歳未満の場合は離縁後に法定代理人となる人(本件では養子縁組時に親権者として子の代わりに縁組みをした父又は母)が子の代わりにあなたと協議をすることになります(同2項)。当事者同士で話し合いがつかないときは、調停を家庭裁判所に申し立てることになります。調停は中立な立場の調停委員を間に挟んで話し合いをもつ手続きで、話し合いがまとまれば調停成立で離縁できます。しかしこれも話し合いですので、合意できなければ、さらに審判あるいは裁判離縁の手続きをとることになります。裁判離縁の場合、訴えが認められたならば、たとえ養子が同意しなくとも離縁できます。但し裁判離縁はそれに先だって離縁についての調停手続きを経ていることが必要です(調停前置主義)。裁判離縁の手続きは養親の住所地などを管轄している地方裁判所に訴状を提出することにより始まります。裁判は強制的に離縁をさせるものですから、離縁原因が法定されており、それを満たしていることが必要です(同814条1項)。ごく簡単に離縁原因を挙げますと、他の一方から悪意で遺棄されたとき、他の一方の生死が3年以上不明のとき、その他縁組を継続しがたい重大な事由があるときの3つがあります(実務的には3番目のケースが最も多いです)。裁判になると大変ですので、協議離縁を目指し、まずは相手の女性及び連れ子とよく話し合ってみることでしょう。
執筆日20021227