- 婚姻中に妻子に対する暴力行為があった夫。離婚の際に子供の親権者になることはできるか。
婚姻中に妻子に対する暴力行為があった夫。離婚の際に子供の親権者になることはできるか。 離婚後、未成年の子供がある場合、夫婦であったもののどちらかが親権者になり、子供の養育監護及び財産管理を行うことになります。この親権者を夫婦のどちらにするかということについては、基本的には協議によって決めることになりますが、協議が整わなければ家庭裁判所の調停などの手続きとなります。では、この家庭裁判所の手続きで親権者を決める場合、ご質問のような妻子に暴力を振るった夫に親権が与えられることがあるかどうか、について考えます。親権は、子供の教育上の観点から最も好ましい当事者へ与えられることになります。考慮される事情は、生活力、生活・教育環境、愛情その他と考えられます。従って、暴力を振るうことが恒常的であるような夫は子供を育てる環境としては非常に問題がありますので、先ずそのような夫に親権が渡されることはないと思われます。ただ、夫の暴力が単発のものであって通常はおとなしく、愛情もそれなりにある、というような場合であって、夫の収入や生活環境に比べ妻のそれば劣悪である、というような場合は、夫に親権が与えられる場合もあると思われます。つまり、親権は、親の権利という名称にもかかわらず子供に対する親の義務であり、もっぱら子供の養育上の配慮が優先されますので、暴力を振るうような夫に親権を与えるとする判断がされることはないと考えられますが、可能性としては、暴力の態様・頻度、収入、環境などの考慮によって、夫に与えられる場合もゼロではないと言えるでしょう。
執筆日20040422