- 前夫が自己破産をしたら養育費はもらえなくなるのか。
前夫が自己破産をしたら養育費はもらえなくなるのか。 まず、養育費の性格ですが、これはそもそも親が負う子供の監護養育するための費用を、監護していない者から実際に監護している者へ、その分担分を支払う、というものです。従って、子供が監護を必要としている限り、継続的に発生していくものです。従って、通常の損害賠償・慰謝料などを分割で支払っているのとは異なります。慰謝料が過去の債務の分割払いであるのに対し、養育費は現在の債務であると言えるでしょう。
では、破産とはどのような効果がるのでしょうか。破産手続開始決定がなされると、開始決定前までに負担していた債務に関する処分(債権の取立てなど)が禁止され、破産者の財産から債権者が平等に分配を受ける、ということになります。つまり、過去の債務の整理、ということです。
この破産の性格と、前述の養育費の性格を考え合わせると、破産手続開始決定後において破産者が親として負担する養育費は、依然として親である限り負担しなければならない、ということになります。
なお、2点、注意すべきことがあります。先ず第1点は、過去の養育費については、破産時点で確定している債権ですから、破産手続きによることになります。つまり、一般債権ですので優先性はありません。一方、破産手続開始後に支払期日が到来するものについては、破産債権ではなく、破産手続外で回収可能と解されています。
第2に、将来の養育費の額については、事情を考慮して、その減額がなされる可能性があるということです。つまり支払う側に破産という事情が加わったので、事情変更による養育費の減額が認められることがあるのです。ただ合意が得られなければ調停によることになりますが、破産の場合は、一定程度減額が認められるようです。但し金額は一概には言えません。執筆日20041006