- 同棲相手から出て行けと言われた。
同棲相手が借りているマンションに住んでいますが、出て行けと言われました。家賃も半分負担していますが従わなければいけないのでしょうか。 まず、ご質問の内容を整理してみますと、同居の実態が、単なる「同棲」の場合には、法的保護は期待できません。しかし「内縁関係(=婚姻届提出未了の事実婚)」の場合は、婚姻に準じた法的保護の対象となります。
次に「同居人としての居住権が保護されるか」、「同棲解消に際して同棲期間中の生活費分担責任、慰謝料請求ができるか」の2つのポイントが考えられます。その具体的対応策は、あなたが「同棲の継続を希望するか、同棲解消に応じるか」で違ってきます。
同棲と内縁関係についてですが、「内縁」とは、結婚の意思をもって夫婦生活をしていて、第三者からみて、夫婦としての共同生活を営んでいるにもかかわらず、婚姻届を出していないために法律的には正式な夫婦と認められていない関係をいいます。「事実婚」「準婚」ともいわれます。正当な理由もないのに、一方が内縁関係を解消する場合は、法律上の夫婦と同様に、財産分与や慰謝料、子供の養育費の請求は認められています。
「同棲」とは、男女が一緒に暮らしているだけの関係です。一方的に同棲関係を破棄しても、慰謝料を請求はできません。また、同棲期間中に、一方が他方より生活費を多く負担していても、そのお金は同居生活をするという目的のためのお金であるため、他方に対する貸し金であると解釈できないし、不当利得として返還を主張することもできません。要するに「あんたの生活費を私が出していたのだから、その分を返しなさいよ」という言い分が認められないのが一般的です。
では、現実的にどのように対応したらいいのでしょうか。
同棲や肉体関係があるからといって二人の確たる将来の結婚についての合意がなければ婚約があったとは認められません。ですから、肉体関係があったとか、同棲していただけの理由で慰謝料を請求することはできません。また、同棲や長期の肉体関係を婚約の証拠だといっても認められません。
同棲を一方的に解消されそうになっている現状を受け入れて、転居費用くらい要求してはどうでしょうか。彼が早く同棲解消したいと考えるなら「手切れ金」と思って払う可能性はあります。
現実的対応として「同棲継続」に体力・気力・金銭を費やす選択肢、そのエネルギーを「明日に向かって再スタート」に使う選択肢があります。最終的にはご相談者が、どちらを選ぶかを決めることになります。執筆日20070726