- Q. 「紛争が起きてしまい、弁護士が必要だが心当たりがない。知り合いを通じて紹介してもらおうにも、そうした伝手もない。どうしたらいいか?」
- A. 「そのようなときには、お住まいの都道府県の弁護士会にお電話なさってください。」
後述する法テラス制度が施行されるまでは、上記の問答の回答が唯一かつ最善であったと思いますが、現在でも妥当な回答であることになんら変わりがありません。
どこの弁護士会でも会員である地元の弁護士が法律相談を定期的に行っておりますし、弁護士会には、およそ弁護士が一般に行っているほとんどの活動に関する情報が集まっております(弁護士に対する苦情などもOK)。
弁護士会の電話番号は、インターネットの検索サイトで、「弁護士会 福島県」等のキーワードで容易に検索できるはずです。
とにかく電話して、「法律相談をお願いしたいが」とか「弁護士を紹介してほしい」などとお伝えください。
法テラスとは、「『全国どこでも法的トラブルを解決するための情報やサービスを受けられる社会の実現』という理念の下に、国民向けの法的支援を行う中心的な機関(公的な法人)」です。いくつかの主要な業務がありますが、「法的なトラブルに見舞われた時」に関連するのは、主に、
「情報提供業務」と「民事法律扶助業務」
の二つだと思われます。ここでは、この二つについて簡単に説明します。
「情報提供業務」とは、
利用者からの問い合わせ内容に応じて、法制度に関する情報と、相談機関・団体等(弁護士会、司法書士会、地方公共団体の相談窓口等)に関する情報を無料で提供する業務
を言います。提供する情報が弁護士会だけでなく、司法書士会や地方公共団体の相談窓口その他、およそ法的な紛争解決に役立つ団体に関する情報が得られる点が特徴です。したがって、どこに相談してよいかわからない場合はもちろん、情報提供は無料ですので、そもそもこれは法律問題なのか?といった場合にも気軽にご利用いただけます。
「民事法律扶助業務」とは、
経済的にお困りの方が法的トラブルにあった時に、無料で法律相談を行い(「法律相談援助」)、弁護士・司法書士の費用の立替えを行う(「代理援助」「書類作成援助」)業務
です。注意しなければならないのは、法律扶助のサービスを受けるには、収入や資産等の制限があり、要件を満たさないと無料の相談等を受けることはできないことです。
もっとも、無料法律相談のための要件審査については、原則電話での口頭確認ですので、まずは、電話してみるのがよいでしょう。
(2009年5月現在)
(関連リンク)【法テラスの無料法律相談の要件2009年4月現在】
ある弁護士によると、事件の依頼ルートでもっとも多いのが知人の紹介だそうです。筆者についてもこれに近いものがあるかもしれません。
紹介の場合、紹介者の存在自体が、(良きにつけ、悪しきにつけ)微妙に意味をもってきます。現実に、多くの方が紹介された弁護士に依頼しているケースが多いということは、紹介者の人格や地位、紹介者の弁護士に対する評価などが、依頼者と法律家との信頼関係を比較的早い段階で構築する一助になっていることも確かなのでしょう。
しかし、弁護士「業界」の慣行にとらわれないというのが、本ガイドの一つの執筆指針ですので、知り合いの紹介の場合の少し辛口の心構えをあげておきます。
- 紹介者に遠慮せず、依頼するかどうかは是是非非(自己責任)で判断を
- 費用についても、きちんと納得して委任しましょう。逆に、知人の紹介だから費用をまけてもらうという発想はひかえましょう
- 知人と自分に利害の対立がないか(これまでだけでなく、将来対立するリスクも含め)を考えて相談しましょう。(もっとも、紹介者と利害の対立、あるいはその疑いがあれば、弁護士の方で、依頼をお断りしますが)
「功罪」などと、大仰なタイトルですが、筆者は、弁護士・司法書士広告大いに結構と思っています。
一般の方にとって、電車広告などは容易にアクセスすることができますし、フリーダイヤルで気軽に電話がかけられる事務所も多いようです。かつては、知り合いのつてしかなかった依頼者側の選択肢も広がります。インターネットで調べれば、弁護士さんや司法書士さんの顔写真も見ることができます。見た目で仕事をするわけではありませんが、敷居が低くなることは間違いないと思います。
ただ、広告を出している事務所の得意分野が特定の事案(多くはクレサラ問題などの債務整理)に集中しているのは少し問題かもしれません。一般の方にとっては、たとえば、
「糖尿病の専門医の広告だけがやたらと目につく」
という状態に近いものがあります。
これにはいろいろな要因がありますが、つまるところは広い意味での市場原理が作用しているということだと思います。「ターゲットをしぼる」ことが効果的な広告の鉄則と言われていますが、中小の法律事務所の側でどういう事案にターゲットを絞りたいかといえば、
- 同種の事件(依頼者)が豊富にある。
- 弁護士に依頼することによる成果が比較的容易に予想できる(成功失敗の見通しが立てやすく、成果が得られる場合が多い)
- 処理手法が比較的定型的で、大量の事件を受任しても、少人数でこなすことができる。
法律問題は、同じようでもそれぞれ個性があり(と言われている)、そういう意味でターゲットをしぼっての広告に適さないと考えられていましたが、クレサラというのはまさにほぼすべての条件を満たすと思われます。それが、クレサラ広告が多い表面的な理由です。
大手では、いわゆる総合病院的にワンストップをうたう事務所もありますが、真の意味でそうした体制をつくるコストは膨大です。つまり、ターゲットをしぼらないワンストップをうたい文句にして大々的に広告宣伝をしても、それにみあう広告効果をあげることは困難なのです。
よく、弁護士はお医者さんと比較されますが、現状はかなり違います。事務所の規模だけを考えてもわかります。弁護士が100人を超えるような大事務所(法人化による「支店」はのぞけば)は東京にしか存在しないといってよく、その数も十指に満たないほどです。地方では弁護士が数人もいれば、立派に大事務所です。お医者さんが数名の病院を誰も大病院とは言いませんよね。健康保険や介護保険のような公的費用負担の仕組みの有無も大きな違いです。
もっとも、クレサラ広告の隆盛をみるにつけ、お医者さんとの類似点は確実に存在するのも事実です。
レイシック、美容クリニック、インプラント、PETなどの最新の検診技術などを、上述の広告にみあうための条件にあてはめてみてください。おおむね合致すると思います。
対する、弁護士業界ですが、今は、クレサラ広告ばかりが目立ちますが、弁護士の仕事でも、費用対効果という観点からに限っていえば、レイシックや美容クリックにあたる分野・業務が実は存在すると考えています。実際に、いくつかの事務所がそこに気付いて、すでに、そうした特定分野の顧客をターゲットにWEB広告を展開しています。
大学病院の医師からすると、美容クリニックが異端的な存在であるように(ある医師の言葉ですが、一般的にこのように言われているかどうかは保証の限りではありません)、大々的に広告宣伝を展開するクレサラ専門の事務所に対して、多くの弁護士は(控えめにいっても)ある種の先入観をもってみているところがあります。「あー、あの事務所・・・」みたいな。
しかし、これは、いまのところ、広告で強調される得意分野がほぼクレサラに限られていることで助長されている面もあります。また、筆者のように、クレサラ事件というのをこれまでの10年にたった5件しか受任したことのない弁護士よりも、多くこなしている弁護士さんの方が手際よくできることは間違いありませんし、競争によってサービスの質や費用の低下も期待できると思います。
こうした点を含めて、筆者なりの冒頭の所感に至るわけです。
国選弁護
一定以上の重い罪にかかる事件や複雑な事件(法定刑が死刑又は無期若しくは長期3年を超える懲役若しくは禁固に当たる事件、公判前整理手続若しくは期日間整理手続に付された事件又は即決裁判手続による事件)で起訴された場合、どんな時でも弁護士がつくことになっています。被告人が自分で弁護人を選任していない場合には、国の費用で弁護士がつくことになります。これが国選弁護人です。
被疑者国選弁護
上述のように、いわゆる国選弁護というのは、刑事被告人として起訴された以降の制度です。起訴前(被疑者の段階)では、被疑者国選弁護という制度の守備範囲になります。被疑者国選弁護制度が適用になるのは、起訴後の国選の場合よりも用件が厳しくなっています。つまり、制度が適用されるのは、法定刑が死刑又は無期若しくは短期1年以上の懲役若しくは禁固に当たる事件で勾留されちゃ場合になります。つまり、より重い罪の場合だけ適用になるのです(1年と3年という数字だけで軽重を判断しないでくださいね。長期3年とは、長くても3年という意味、短期1年は最低でも1年以上という意味で、法定刑の定め方としては、後者の方が重いのです)。もっとも、「短期1年以上」の要件は、2009年から「長期3年を超える」と緩和されます。
もうひとつ、重大な要件として、一定以上の資力(お金。執筆当時で50万円以上)をもっている人は、制度を利用できません。その場合には、通常の自費による私選弁護になります。知り合いがいない場合は、弁護士会ないし法テラスを介して紹介してもらうことになります。
また、勾留されて以降ですので、いわゆる二泊三日の逮捕限りの場合、この制度は利用できません。逮捕から勾留までの間に弁護士をつけたい場合は、同様に私選になります。
私選の場合、被疑者国選とちがって、弁護士報酬は自分が払わなければならないことは言うまでもありません。
当番弁護
被疑者国選弁護制度は、勾留されて以降の制度ですので、逮捕されただけでは、利用できません。当番弁護士は逮捕された時から利用できます。対象は逮捕・勾留中の被疑者ですので、逮捕に続き勾留された後でも派遣を依頼できます。
刑事事件で逮捕された時には、警察に弁護士のアドバイスを受けたいと言ってください。警察は必ず、弁護士会へ当番弁護士の派遣を依頼することになっています。当番弁護士による初回の接見は無料で、防御の手段等のアドバイス、法律相談、弁護の依頼を行なうことができます。家族などからも弁護士会に当番弁護士の派遣を依頼することができます。
当番弁護士はだいたい、派遣を依頼した当日に会いにきてくれ、刑事事件の説明や、被疑者国選の制度の説明、取り調べに対する心構え、勾留された場合の身柄拘束期間その他について、アドバイスをしてくれます。そのまま、私選弁護としてお願いすることもできますが、受任するかどうかは、その弁護士が受けられる状態にあるか(刑事弁護は待ったなしですので、時間的に対応できる余裕がないと受けたくても受けることができません)にかかっています。したがって、必ずしも当番の弁護士に私選を依頼できるわけではありません。あくまでも初回の接見によるアドバイスが基本です。
当番弁護士が受任できない場合、二回目以降の接見(これ以降は原則として私選となります。勾留後であれば上述の要件を満たせば被疑者国選も利用できます。)を希望する場合には、弁護士会や法テラスを通じて弁護士を紹介してもらうことになります。
当番弁護のあらましや、手続きは、
等をご覧ください。